半年後には英語で仕事の話ができるようになりたい。だから、評判のよい教材を選び、毎日の学習時間も決めた。

ところが、教材を開くたびに出会うのは、自分がほとんど関心を持てない話題だった。

これは仮の例だが、計画を見直す入口になる。将来の目標ははっきりしている。その一方で、目標へ向かう今日の時間をどう過ごすかは、まだ検討できる。

Kaitlin WoolleyとAyelet Fishbachの研究「Immediate Rewards Predict Adherence to Long-Term Goals」は、目標に取り組む際の即時的な報酬と、後から得られる報酬を区別している。ここでいう即時的な報酬には、活動中の楽しさが含まれる。2017年の学術誌掲載論文の要旨によると、学習などを調べた一連の研究では、楽しさなどの即時的な報酬が継続と関連していた。研究群をまとめた分析でも、遅れて得られる報酬より継続との関連が強かったと報告されている。原著の公開要旨

これは「楽しければ誰でも続く」という因果関係の証明ではない。論文が扱う「即時的な報酬」は楽しさを含むが、それだけに限られない。また、目標の重要性や遅れて得られる成果が不要だという意味でもない。

ここで注目したいのは、遠い成果への期待と、取り組んでいる最中に得られる即時的な報酬を、別々に見る視点である。

この視点を学習の設計に使うならどうなるか。ここからはFORWARD BASISの提案だ。

英語で仕事について話したいなら、自分が興味を持つ製品の説明を教材にできないだろうか。文章を書く練習なら、例文をなぞる課題に加えて、本当に誰かへ伝えたい説明を書けないだろうか。必要な練習を残しながら、その時間に関心を持てる題材を探す。

即時的な報酬を「終わった後にもらえるご褒美」だけに限定しないのが、この提案のポイントになる。知りたかったことが分かる。自分の考えを言葉にできる。昨日は読めなかった説明が読める。学習の中で見つける喜びにも目を向けたい。

ただし、好きな題材を選ぶだけでは、目標に必要な練習が抜けることもある。英語の動画を見るのが楽しくても、話す力を伸ばしたいなら、自分で声に出す時間を設ける、といった調整は必要だ。

そこで、学習を振り返るときの問いを二つに分けてみる。「今日は何を練習できたか」と「取り組んでいる最中に、何が次の一回を始めやすくしたか」。前者だけなら、継続を支える即時的な経験を見落とすかもしれない。後者だけなら、目的から離れた活動で満足するかもしれない。

両方の答えを見ながら、次の教材や課題を少し変える。楽しさと上達が両立する方法が、最初から見つかる必要はない。

半年後のために確保した時間を、今日も少し楽しみにできる。その可能性まで含めて、学習計画を作ってみたい。

SOURCE / 原典

この記事の出典

本文の事実確認に使用した原典です。FORWARD BASIS独自の解釈・整理は本文内で区別しています。

  1. 論文Woolley & Fishbach — Immediate Rewards Predict Adherence to Long-Term Goals (2017)