「使ってみたいです」と言われ、案内を送った。それから返事がない。
断られたのか、忙しいのか、設定が難しいのか。送信済みのメールだけでは見分けがつかない。Stripeの創業初期には、試すことに同意した相手のそばで、設定まで進めたという記録がある。Paul Grahamの記述
SOURCE|同意を得たら、その場で設定した起業家支援組織Y Combinatorの共同創業者ポール・グレアムは、2013年の文章で、決済サービスStripeを立ち上げたコリソン兄弟の行動を紹介している。
相手が試すことに同意すると、その場でノートパソコンを借りて設定を進める。YC内で「Collison installation」と呼ばれたやり方だ。原典には、YCが支援するほかの企業が初期の利用者候補になったという条件も書かれている。支援者による記録
これは、同社を支援したYCの共同創業者による一つの創業初期事例である。この行動だけでStripeの成長を説明できるわけではなく、「初期顧客は必ず対面で設定すべきだ」という一般法則を示すものでもない。
この事例から読み取れるのは、少なくとも当時のStripeでは、利用意思の確認だけで終えず、実際の着手まで伴走することで「どこで止まるか」を観察できた、ということだ。
EDITOR’S TAKE|初期オンボーディングでは、「興味」と「着手」を分けて見る「使ってみたい」という返事は、需要の証明ではない。相手が実際に設定へ進み、その後も自力で使えるかは別の問いである。
FORWARD BASISでは、ここを「興味」と「着手」の間にあるオンボーディング摩擦として見る。
例えば、小さな教室向けに予約管理ツールを案内するとする。魅力は伝わっていても、営業時間や予約枠の入力で止まるかもしれない。機能の説明を追加するより、同意を得て最初の予約枠を一緒に作れば、どこが難しいのかを確認できる。これは編集部が作った仮の例だ。
試す意思があり、設定で止まっている相手なら、手助けする余地がある。必要としていない相手に操作を代行しても、使う理由は生まれない。
さらに、手助けした直後の反応と、相手が次に自分で使えたかを分けて見る。そばにいる間だけ使えても、製品自体が使いやすくなったとは判断できないからだ。
TRY THIS|再送する前に、止まった場所を聞くまずは、案内後に止まっている理由を確かめたい。
「その後いかがですか」だけでなく、「試す時間が取れないのか、設定で止まったのか、今は必要ないのか」を、答えやすい形で確かめる。必要なら、最初の操作を一緒に進めると提案する。
操作支援は相手の同意と社内ルールの範囲で行い、パスワードを預からない。断られたら追い続けない。
案内を送って終わりにせず、使い始めるまでのどこに負担があるかを見る。そこが分かれば、増やすべきものが営業メールなのか、説明なのか、製品の改善なのかを考えられる。
重要なのはStripeの行動をそのまま模倣することではない。自分たちの初期利用者が「使いたい」と言ったあと、どの一歩で止まるのかを観察できる形にすることだ。
SOURCE / 原典
この記事の出典
本文の事実確認に使用した原典です。FORWARD BASIS独自の解釈・整理は本文内で区別しています。